結局は自分で確かめるしかない。「新」旅館 藤屋の5年目


旅館 藤屋/隈研吾/山形/2006



大正ロマンあふれる銀山温泉。古くはNHK朝ドラの「おしん」で、近年では米カリフォルニア出身で日本一有名になった“金髪女将“ジニーさんが出迎えてくれる旅館「藤屋」。隈研吾によるリニューアルは、従来の町並みを形成していた「黒い太柱と漆喰の白壁とのリズム」の中で、隈 研吾らしい格子を白木のままに用いています。



改修後は「銀山温泉の町並みを壊した」「新しいものは常に批判にさらされるものだ」といった議論、「このリニューアルにより、ジニーさんは失望し国に帰ってしまった」「民事再生法の適用を申請し、負債は約五億円で事実上の倒産である」などの話題が絶えません。そのほとんどが批判的なものですが。。。オーナーのオファー、ユーザーのインサイト、社会のイシュー、その3つの交点をいかに探り当て設計へと落としこむか。良くも悪くも長きに渡りそこに存在してしまうものをつくる「建築」においては、非常に重要な問題です。



と、ちょと熱くなってしまいましたが、自分なりの建築というものを考えるために訪れるのもいいですし、もっと気楽に隈研吾のつくった空間を味わいにいくのもいいと思います。外観の賛否はありますが、内部空間の評価はとても高いです。最後はやはり自分の体で確かめたいものですよね。

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